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リカンベントでかんちがいされていること。

 リカンベントをちょっと知っている人は大抵こう思っているようです。

「めっちゃはやい」
「とにかくはやい」
「やべぇやつ」
「くうきていこうがすごい」
「たかい」
「はやい」

 っとまぁ,どこぞのバカ動画のお陰と,某ストリームライナーのお陰で,どうしてもリカンベントはどちゃくそ速い!ってイメージがバンバン先行して広まってっているような気がします。

 ぶっちゃけていうと間違ってないんだが間違っているのである。

 ロードもリカンベントもミニベロも折りたたみ自転車も扱っていた私が表現するには,

 「リカンベントは速いんじゃなくて,結局速く走れているだけ。」

 なのだ。

 瞬発力とか瞬間的な速度を考えると,普通に乗っている分においては,立ち漕ぎのような全身運動で加速することのできるロードのほうが,トップスピードは間違いなく速い。

 スゴ技で出て来るような世間を賑わすリカンベントは150km/h近い速度出してるじゃないの!とつっこみがきそうですが,とんでもない速度で走れるリカンベントは「ストリームライナー」と言って,リカンベントのようでリカンベントとはちょっと違う乗り物なのです。しかも走る場所はフラットな直線。そしてフルカウル。3km程度の助走をした後200mを130km/h以上で全速力で走るとんでもない競技。あれを持ち出したらダメなんだよね。ちなみに私がリカンベントでフル加速しても条件がよくてせいぜい45km/h越すか越さないか。それでも加速できるようになった方で,ロードでモガいた方が速度はすぐに出る。

 だったら何でリカンベントに乗っているの,と言われると,速度に魅力を感じて乗っているわけではないのです。

 リカンベントをこよなく愛する人々の大半が感じていると思われる,リカンベントの良いところとは何かと言うと,

「上半身をリラックスさせて空気抵抗少なく走れるところ。」

 なんです。

 乗りなれてしまえば,上半身というか,腰から上は一切運動しないため,上半身は一切疲れない。空気抵抗は小さいから,向かい風が吹いていても切り裂いて走ることができる。

 だから,ロードバイクに比べると,平坦を長い時間ちょっとだけ速く,ちょっとだけ楽に走り続けられる。平坦なルートだと,日々練習で乗っているロード乗りとトントンくらいのペースで,トレーニングしてないのに走り続けられる。150kmとかの距離をずーっと30km/hって巡航し続けてる感じ。つまり結局のところ,常にサボってるのに,結果的にそこそこ速く走り続けられる。

 そのアドバンテージに魅力を感じているのです。

 むしろリカンベントはちんたら走っているほうが多幸感に包まれる。

 桜並木や青空を見上げながら,ダラダラゆっくりのんびり走る幸せは,リカンベントじゃないと味わえない。疲れてても視野は前を向いているので楽だし,ダラダラゆるゆる走るととても楽しい。そしてたまに思い切り踏むと普段味わえない速度で長く走り続けられる。トレーニングもせずに。

 リカンベントは間違いなくトレーニングとか速度出すための乗り物じゃない。

 サボるための乗り物。

 それを分からず,ただただ速く走れると思い込んで購入すると,思ったような乗り物でもないし,大して速くないし,場所は取るしですぐオークションに手放してしまう。乗りにくいから,最初はデメリットばかり目だって,良い乗り物とは思えなくなる。

 とくに,スポーツ競技として自転車に乗っている人たちにとっては,サボるための乗り物だから,あんまり魅力を感じられなくなる。そんな所で,購入したての綺麗なリカンベントがワーっとオークションに出てくるのはこんなところが理由だと思われる。

 しかしながら,じっくり乗って,その魅力に気づくと,悪魔的に魅了されてしまう。

 リカンベントとは,そんな乗り物なのです。
by steadycat | 2017-06-16 00:48 | 日常のぐだぐだ

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