リカンベントとは何か。その①

 リカンベントを作ろうという記事を書くにあたって、まずもって

「リカンベントとは何か」

 書いておく必要がある気がしたので書き記しておくことにします。二輪タイプのみの説明で,トライクのような三輪車については記述してません。

 長文です。

 ほぼ独自研究に近いのでそのへん割り引いてご覧下さい。


◆リカンベントとは…

 リカンベント、英語で書くと 「Recumbent」 と綴り,意味は,「寝そべった」 とか 「怠惰な」 といった意味になります。まぁまさにその意味のとおりで,寝そべったような姿勢でペダルを漕いで進む自転車が,
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リカンベントなのです。




◆リカンベントの種類…

 さて,上の写真のリカンベントは 「TSUNAMI2026」 という極めてベーシックなフレームのリカンベントで,私が所有しているものです。「極めてベーシックなフレーム」 という表現を使用したのには訳があって,リカンベントには様々な形状と種類があるのです。調べると本当にたくさんの種類があるのですが基本的には,「座席の高さ」 で大雑把に種類わけができます。というわけで落書きをまじえながら説明します。



1. ハイレーサー
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 車輪を前後輪とも700c~24inchで統一し,その車輪の頂点付近に座席を配置した車高の高いリカンベントを「ハイレーサー」と呼びます。大径ホイールの路面走破性をそのままリカンベントに適応したいがためにこのような形態になっています。高速巡航を得意とし,登りも得意とする形態です。しかしながら車高が高く,身長が小さいと乗れないという欠点もあります。構造上,チェーンラインが直線に近くなり、チェーンのフリクション低下にも役立つ形です。(例外在り)



2. ミッドレーサー
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 リカンベントでもっとも種類が多く、豊富にラインナップがあると思われる種類が「ミッドレーサー」です。ミドルレーサーとも言います。大体20inchホイールの上端あたりに座席最下部が来るくらいの車高のリカンベントを指します。レーシング向け~ツーリング向けまで多種多様で,フレーム構造も様々にあります。

 基本的な形態は,前輪は20inch,後輪は26inchか700cを履き,その合間に座席が入ります。前輪が小さい理由として,クランクの地上高やシートの高さを下げて乗りやすくしたり,クランクと座席の間を短くして脚が届きやすいようにしたりできる,といった利点が挙げられます。身長が低くても乗れるような設計が出来るわけですね。また他にも,前後輪とも26inch程度かそれ以下のホイールを使い,そのホイール間に座席を押し込んで着座高を抑えたものもあります。

 車種や設計にもよりますが,初心者にも乗りやすく,街中でも乗りやすい物が多いのがミッドレーサーです。



3. ローレーサー
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 リカンベントが「速い」といわれる所以をもっとも突き詰めた結果誕生したと考えられる物がローレーサーになります。前輪と後輪の間にほぼ完全に座席が納まり,手が容易に地面に付いてしまうくらい着座高の低いものを指します。自転車の天敵である空気抵抗を極力減らす工夫が随所にしてあり,極めてレーシーな設計をされた車両がほとんどです。

 見た目のとおり,座席なるべく寝かせ,着座高を下げ,相対的にクランクの地上高を搭乗者の体とほぼ同位置まで持ち上げることで,前方投影面積を減らし,乱流を防いで空気抵抗を減らしています。また,前後輪の間に体が納まることで,ホイールやパーツの生み出す乱流もある程度覆い隠すことができるわけです。物によってはさらにフェアリングなどの整流パーツなどを装備し、空気抵抗に打ち勝つ工夫をしているものもあります。まぁ最もリカンベントがリカンベントしている種類になります。

 一方で,低くなればなるほど前輪のさらに向こう側にクランクが来るため,座席とクランクの距離が長くなり,脚が長くないと乗れない代物だったりします。また一見低重心で安定しそうですが,短い箒は手の上で立て難いのと一緒で,バランスも取り難いです。




 ということで,二輪のリカンベントは大雑把に分けて上記の三種類くらいに分けることが出来ます。まぁシート高もホイールの組み合わせもフレーム形状も,それこそ多種多様にあり,それによって車高は様々に存在するので,それぞれの線引きは極めてあいまいです。ぶっちゃけ大雑把です。フレームメーカーがローレーサーと主張したものはローレーサーということです。




◆操作系統について

 リカンベントを種類分けする要素として大事な要素のひとつが操作系統です。簡単に言うとハンドル周りです。これもまた面倒なことにいくつか種類があります。しかも,駆動系と切っても切れない関係のものがあります。



1. OSS ・・・ オーバーシートステアリング
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 座席の上側に小型のハンドルを配置したものを,「OSS(オーバーシートステアリング)」と呼びます。普通の自転車のステムにあたる部分から,ハンドルポストと呼ばれるパイプが伸び,その先にシフターやブレーキレバー,サイクルコンピューターなどが取り付けられる小型のハンドルが付きます。ハンドルポストは前方に倒すことが出来るように可動式になっている物が多いです。

 取り付けられるハンドルは一般的な自転車とは全く異なった形状をしていて,その多くはかなり横幅が小さく,ハンドルというよりはレバー類を取り付けられるグリップのような感じになっています。レバーやアクセサリーの取り付け方も,乗り手の好み次第で様々な形態があり,何か一定の基準のような構成はありません。しいて言うなら,ハの字ハンドルがメジャーでしょうか。

 また,ハンドルが上にあって一見普通の自転車に似た操作感が得られるように見えますが,全く違います。普通の自転車は左右にハンドルを「回し」ますが,このタイプは左右にハンドルを「振り」ます。右に行きたければ左にハンドルを「振り」,左に行きたければ右にハンドルを「振り」ます。長い棒の先で操舵するので,人によっては思った以上に慣れが必要な操作感になっています。ただし,これもステム角度,ハンドル構成,ヘッドチューブ角度で変化するものなので,一概には言えません。逆に乗りやすいものもあります。



2. USS ・・・ アンダーシートステアリング
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 座席の下側にハンドルを配置したものを,「USS(アンダーシートステアリング)」と呼びます。肩幅程度の幅の広いハンドルが,腰の左右あたりにグリップが来るような位置で配置されます。レバー類は座席の左右上方向に飛び出たハンドルの先に取り付けます。

 ハンドルとフォークの接続方法はざっと二種類あり,座席下にハンドル用の軸があってそこにハンドルを取り付け,ハンドルとフォークはリンクロッドを使って繋ぎ,間接的に前輪を動かすものと,フロントフォークそのものに直接ハンドルを取り付けるタイプがあります。

 ハンドリングは見た目に反して意外と普通で,一般的な自転車と同じようにハンドルを動かし操舵します。腰の横でブルホーンハンドルを握って左右にまわす感じでしょうか。個人的感想ですがOSSに比べると案外直感的に操作できる気がします。またくどいようですがハンドルシステムによってこれまた操作感が違ってきますので一概には言えません。

 座った感じは体の前に何にもないので非常に開放的です。何もなさ過ぎてなんか飛んできたら全身で受け止めそうで怖いくらいです。この開放感はとてもリカンベントらしい感じがします。

 一方で,USSタイプ共通の問題点があります。体の横でハンドルを操作しないといけないので,体とハンドルとの合間にそれなりのクリアランスが必要となります。よってどうしても幅が広くなります。また,顔の周辺に何もパイプ類がないので,サイクルコンピューターなどのメーター類を取り付ける場所が限られます。ほかには,ハンドルの位置によって若干跨り難い車両もあります。



3. オープンコックピットハンドル
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 幅の広い,肩幅くらいある大きなハンドルを,足をよけるような形で取り付けたものをオープンコックピットハンドルと呼びます。腕を前に突き出してハンドルを握るその姿からスーパーマンハンドルと呼ばれる場合もあります。

 座席に座ってハンドルを握ると,オートバイのチョッパーハンドルを握っているような感じになります。操作感覚はいたって普通で,OSSやUSSよりうんと操作しやすいです。ただしハンドルや形状によって(以下略 

 また,腕を前方に突き出しグリップを握るため,ハンドルを引っ張ってクランクを踏み込むという動作が可能になります。OSSやUSSのようなほぼ操舵に特化したハンドルと違い、全身でパワーをクランクに伝えることができます。

 もう一つ利点として,腕を伸ばしてハンドルをつかんでいるので,腕で体を引き起こすことが可能です。これはハイレーサーのような足つきの悪いリカンベントに最適で,ハンドルを引いて体を起こし,足を着く事ができるため,とても楽で便利です。

 欠点としては,脚をよけてハンドルを配置する必要性がある以上,ハンドルの横幅がどうしても大きくなります。また,長いシフトケーブル類をうまくハンドルに這わせて配線してあげる必要性もあります。



 操作系統はざっとこんな感じです。次に駆動系の説明をしますが,操作系統と絡めてお読みください。




◆駆動系について

 さて、次は駆動系のお話です。これもざっくり分けるとおおまかに三種類に分けられます。また,操作系統と関連して説明します。



1. 前輪操舵 - 後輪駆動
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 一番多い駆動方式がこれになります。考え方はいたってシンプル。前にあるクランクからチェーンを延ばしてリアホイールを駆動させます。

 このタイプは,操作系統と駆動方式にあまり関連性がないので,USS・OSS・オープンコックピットハンドルなど,いろんな組み合わせが存在します。

 一見シンプルな構造に見えますが,フレームによっては構造設計が見た目以上に厄介なのが特徴です。

 何故かというと,ハイレーサーより座席が低い車両になると,クランクからリアスプロケットの間に座席やフロントフォークが入ってチェーンラインの邪魔をするため,まっすぐなチェーンラインをとることが無理になり,それらをよけてチェーンを通さなくてはならないからです。

 そこで,チェーンとパーツの直接の接触を防ぐため,抵抗の少ないチューブにチェーンを通してフレームやパーツと当たらない様にしたり,「アイドラー」と呼ばれるものを取り付けて,チェーンラインを大きく曲げるなどの対処をする必要があります。これらを取り付けるためのブラケットやダボ穴を組み込む必要があり,設計する際は中々配置で悩まされます。このチューブやアイドラーはチェーンと常時激しく接触しているので,当然フリクションの原因にもなりますので,出来るだけ取り付け個数を減らして設計する必要もあります。

 もうひとつの欠点として、この方式はとても長いチェーンが必要です。一般的なロードバイク用チェーンを2.5パック以上つないで使うことになります。チェーンの鎖が増えるので重量増大の原因にもなります。

 一方で,ハイレーサーのように座席が高いとクランクからリアスプロケットまで邪魔するものがほとんど無くなり,まっすぐなチェーンラインが取れるので,構造も簡単に済みます。

 とまぁ色々デメリットも多そうですが、考え方と構造そのものは非常に単純明快なので,設計や整備そのものはしやすいです。




2. 前輪駆動 前輪操舵
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 リカンベントはクランクが前に来るので,駆動系をコンパクトにするのならば必然的に前輪駆動が良いわけです。そんな考え方から生み出されたのがこの駆動方式になります。

 操作系統は基本的にOSSが多いと思われます。オープンコクピットハンドルも使えると思います。ただ,USSタイプの例は自作したリカンベント以外で採用されているのを見たことがありません(私が知らないだけかも)。USSが無い理由としては,フロントフォークが複雑なので,USSは取り付けにくいからと考えられます。

 前にあるクランクで前輪を駆動するので,クランクからヘッドチューブまでチェーンがのび,2個程度のアイドラーを使用して,ハブへ向かってほぼ90°にチェーンをまげて前輪を駆動させます。なので,フロントフォークはリアハブが入り,リアディレイラーが取り付けられるように専用設計されたものを使用します。

 また,このタイプは駆動輪の前輪で操舵します。なのでハンドルを回すと,ヘッドチューブからハブのところまでのチェーンが捩れます。この捩れに対応するためにいくつかのアイドラーを組み合わせて捩れに対応させます。

 当然チェーンの捩れの限界以上には操舵することができません。ですが、通常の乗り方に支障が出てくるほどではありませんし,十分操舵角をとることができるよう設計されています。

 ちなみにリアに使うホイールはフロントホイールです。フロント側にすべての駆動機構が凝縮された状態になります。リアホイールまでチェーンが伸びないので,後ろのフレーム構造は比較的自由に設計できます。長いチェーンに悩まされないので,折りたたみタイプのリカンベントなどにも採用例が多い方式です。

 複数のアイドラーで深くチェーンを曲げているのでフリクションロスが多そうですが,実際はそうでもないようです。



3. 前輪駆動 前輪操舵 (特殊)
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 さて、前輪駆動・前輪操舵は、フロント側に機構がすべて凝縮されるのでコンパクトと書きましたが、それをさらに最適化させたものが、この特殊な駆動・操舵方式です。

 まず、フレームが前部フレームと後部フレームに別れます。前後のフレームは、ヘッドチューブもしくは専用のピボットにて接続されます。前部フレームは普通の自転車のように、クランクからフロントホイールへ、チェーンを直接取り回して駆動することができるよう設計されます。その前部フレーム部分を丸ごとひっくるめて左右に動かして操舵します。後部フレームは座席とリアホイールを受け持ち、支えることになります。

 変わった構造で種類も多種多様にあるのですが、代表例を挙げると、二種類ほどに分けられます。

 一つは、ヘッドチューブがあり、それより前に駆動用フレームを構成しているもの。代表例としてCRUZ BIKEや、Zockra kouign amannがあります。

 もう一つは、フレームを真ん中、座席のお尻の下付近から折れ曲がるようにして前後のフレームに分け、前フレーム側に駆動系を組み込んでいるもの。代表例として、Python Lowracerや、Flevo Bikeなどがあります。

 さて、クランクごと前部フレームが動きますんで、脚ごと操舵します。というより脚を使って操舵します。ハンドルは操舵にほぼ関与しません。(ただし物による) ハンドルはシフターとブレーキを取り付けるためについています。この駆動・操舵方式のリカンベントの動画を見ると、完全に手を放した状態でくるくると走っている様子が見られます。





 ハンドルは操舵にあまり関与していないので、USSやOSSなど色々なハンドルがマシンの用途やニーズによって選択されています。色々な形式があり、ベーシックな形もありません。ただ、割とUSSが多い気がします。

 欠点としては、脚の間にホイールが来るので、ローレーサーになればなるほど脚の長さが必要となります。まぁそれ以上に操作に慣れが必要な車種のようです。



 さて、ロードバイクのような自転車と違って、駆動系と操作系統が多種多様にあり、しかも関連しているということがお分かりいただけたでしょうか。このへんがリカンベントの多種多様化の原因のひとつになっているように思います。




 ここまでざっくりとリカンベントの種類と形態、構造的な種類を紹介しました。次回は使うパーツやメカニカルな部分などについて説明したいと思います。

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by steadycat | 2015-04-13 01:22 | 自作リカンベント | Comments(0)

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