リカンベントとは何か。その②
2015年 12月 06日
リカンベントを作ろう!という記事のためのリカンベント解説記事です。その①はこちらから。
リカンベントとは何か。その①
さて今回はリカンベントに取り付けるパーツグループについて説明したいと思います。
極めて見た目が特殊な自転車であるリカンベント。バーツも極めて特殊なのでしょうかと言われたら、
実はそうでもないんですよ・・・。
さて相変わらず長文で独自研究ですが、興味ある人はごらん下しあ。
◆コンポーネントについて
さて、リカンベントは形状が特殊な自転車なわけですが、当然使用されるパーツも特殊です・・・
と、言いそうになりますが、実は言うほど特殊なパーツは使わず、ロードバイクやマウンテンバイクに装備されるコンポーネントと同様のものが使われます。よって、自転車の主要な駆動パーツは普通の自転車のそれと殆ど変わりません。
使われるコンポーネントは乗り手のニーズによって様々ですが、基本的にロードバイクのコンポーネントよりマウンテンバイクのコンポーネントの使用率が高いです。理由としては、ダンシングができないので、登り坂などでは軽いギアをひたすら回して登らないといけないからです。重いギアだと、キツい坂のとき踏み切れないのです。とにかく低いギア比が必要なのであります。
ギア比をきちんと考慮する事以外は、特殊なフレーム構造でもない限り、基本的なコンポーネントはスポーツバイクと全く代わりはしません。
ということで、使うコンポーネントそのものは見た目以上に普通なのですヨ。
まぁでも、当然全く同じってわけではなくて、普通の自転車と違う点が二つあります。
通常よりチェーンが長い場合があるのと、ケーブルが長くなります。フレームが長いから仕方ありませんネ。
◆チェーンマネジメント用のパーツについて
一方、リカンベントで特殊なパーツといえば、まず「アイドラー」でしょうか。フレーム先端から後部までつながる長い長いチェーンを、フレームやパーツにぶつからない様に且つ、滑らかに受け流すための必須のパーツです。必須といいましたが実は必要としないリカンベントも存在します。
こんな感じの丸いパーツで、
シート下あたりなどに取り付けてチェーンを受け流し、シートやチェーンステーを避けます。
まるっこいのがシート下に二つ付いて、チェーンがかかっているのが判りますでしょうか。
アイドラーの形も様々に存在していて、大きさが違うもの、ギア歯数が違うもの、フレームのメーカーが専用設計で出しているアイドラーもあれば、社外品の高性能アイドラーもあるなど、いろいろと種類があります。比較的消耗も早い場合が多いので、たいていアフターパーツとしてメーカーが販売しています。
私の場合は、DMM3Dプリントを利用して、ナイロンでオリジナルのアイドラーを出力してもらい、使用しています。もし適合するアイドラーが販売されていなければ、今の時代はいろいろな手法を用いて作ることができます。ほかにも強度のある樹脂を削りだして作る方法もあります。無ければ自作という手もあるのが面白いところなのです。
さらにフレームによっては、チェーンラインにもよりますが、用途によってアイドラーを増やしたり減らしたりできます。たとえば、フロントホイールを避ける為のアイドラーを減らしてフリクションを低減させ、高速仕様にすることもできます。ただしフロントホイールとチェーンが干渉するようになってしまうため、直線番長化してしまいます。まぁ乗り手のチューニング次第です。
もうひとつ、チェーンマネジメントをするために必須なのが、「チェーンチューブ」です。
下写真だとちょっと判りづらいですが、チェーンステー上とフロントフォークのところのチェーンが黒いチューブで覆われているのが見えるかと思います。
こっちが判りやすいかな。白いチューブです。
直径が15mmくらいのチューブを使い、中にチェーンを通します。素材はいろいろで、ナイロンやフッ素樹脂のチューブなど、抵抗が少なく且つ頑丈なものを使います。
これを取り付けることで、フレームやパーツにチェーンが直接接触しないようにすることができます。また、リカンベントはチェーンが股の間を通り抜けたりするので、チェーンむき出しだとズボンや身体に接触し、最悪怪我することもあるので、チューブを使って覆い隠しておけば安全で汚れない、といった理由もあります。
◆シート周りについて
リカンベント最大の特徴かもしれない、シート。当たり前ですがこれが無いとまず乗れません。
とはいっても、フレームセットと一緒についてくるので問題ありません。
たいていはグラスファイバーのFRP製であります。
が、カスタムしたい人はここをカーボン製に変えたり、自分の好みのカーブを描いたシートに取り替えたりするわけです。また、ここはロードバイクでいうサドルみたいなもの。つまり座り心地やフィット感が、脚力を生かすか殺すかにかかわってきます。なので、シートを取り付ける金具を加工して好みのシート角度にしたり、シートに貼り付けるクッションを加工したり、複数のスポンジ素材を組み合わせて、適切な座り心地になるように工夫している人たちもいます。
もうひとつ、シートにはヘッドレストがついています。頭を受けるためのパーツですが、これもセットについています。弄りたい人たちは、自分好みにクッション素材を見直したり、作り変えたりしている部分です。サイズが小さいので、工夫しやすい部分ではありますね。
また、座面のリクライニング角度も乗り心地やリカンベントの味付けに非常に関わってきます。座席は基本的には立てたほうが乗りやすく、逆に寝かせば寝かすほど空気抵抗は減ります。一方立てれば立てるほど空気抵抗は増大し、寝かせば寝かすほどコントロールが難しい場合が多いです。
そして、設計する時にも非常に重要なファクターを占めるのが、シートの背面と、座面からBBまで延ばした線との角度です。これが、脚力を推進力に変えるための非常に大きな要素になります。
この部分の角度です。
話によれば、130°付近が最適で、130°より角度が広がると、脚力が逃げてしまうという話もありますが、人によって変わってくるかなぁ、といった感じがします。角度が深ければ強く踏み込めますし、浅いとリラックスした姿勢になります。まぁ良い角度は自分で見つけるしかないです。ちょっとセッティングの話に逸れてしまいましたが、そういった要素を含めて、シートは選んで交換することができるパーツのひとつです。
◆ハンドル周りについて
ほかに特殊なパーツといえば、ハンドル周りでしょうか。OSSタイプの場合、ハンドルポストを可動状態にするために特殊なステムを用います。下ハンドルの場合は体の幅より大きなハンドルが必要です。この辺はフレームセットと一緒についてくるパーツなのであまり気にする必要はないでしょう。また、壊れた場合でも対応できるよう、メーカーから消耗品としてハンドルセットが販売されています。ほかには社外品でも色々と出回っています。
探せばフルチタンの超軽量なパーツも・・・
◆アクセサリー類について
そんなことより、よっぽど"難儀"するものが「アクセサリー類」です。ライト、サイコン、バックミラー・・・ 普通、ハンドルに何もせず取り付ければ良い物が、すべて頭を悩ませる種となります。
まずライト。基本的にOSSもUSSもハンドルに直に取り付けられません。OSSでハンドルにライトを取り付けると、太ももあたりの脚を照らし出して大変まぶしいです。
仕方ないので、フロントのFDポストにアダプターを介して取り付けたりするしかないのです。
こんなかんじ。他にも色々人によって工夫している事例が見られます。
次にサイコン。フォークの位置とハンドルの位置が通常とは全く異なるので、無線タイプのサイコンは角度を工夫しないと電波を受信してくれません。また、有線式のサイコンは大抵はコードの延長を強いられます。
あとはリアライトとか、ベルとか、ミラーとか、キャリアとか・・・他もろもろ・・・。形が違うので、通常想定されている取り付け方が出来ません。まぁどうにかこうにか、弄ればなんとかなりますが。
まぁある意味非常に工夫しがいがあるので、個性が出るところであります。
さて、ざっくりとパーツの説明をしました。まぁ、ちょっと工夫すれば、ふつうのロードバイクとさして差が無いことがお分かりいただけたんじゃないだろうか(いやお分かりいただいて欲しい)。
もしかしたら後で補足説明文を書き加えるかもしれません。
さーて、ぼちぼち製作のほうの記事を書かなくちゃなぁ。
リカンベントとは何か。その①
さて今回はリカンベントに取り付けるパーツグループについて説明したいと思います。
極めて見た目が特殊な自転車であるリカンベント。バーツも極めて特殊なのでしょうかと言われたら、
実はそうでもないんですよ・・・。
さて相変わらず長文で独自研究ですが、興味ある人はごらん下しあ。
◆コンポーネントについて
さて、リカンベントは形状が特殊な自転車なわけですが、当然使用されるパーツも特殊です・・・
と、言いそうになりますが、実は言うほど特殊なパーツは使わず、ロードバイクやマウンテンバイクに装備されるコンポーネントと同様のものが使われます。よって、自転車の主要な駆動パーツは普通の自転車のそれと殆ど変わりません。
使われるコンポーネントは乗り手のニーズによって様々ですが、基本的にロードバイクのコンポーネントよりマウンテンバイクのコンポーネントの使用率が高いです。理由としては、ダンシングができないので、登り坂などでは軽いギアをひたすら回して登らないといけないからです。重いギアだと、キツい坂のとき踏み切れないのです。とにかく低いギア比が必要なのであります。
ギア比をきちんと考慮する事以外は、特殊なフレーム構造でもない限り、基本的なコンポーネントはスポーツバイクと全く代わりはしません。
ということで、使うコンポーネントそのものは見た目以上に普通なのですヨ。
まぁでも、当然全く同じってわけではなくて、普通の自転車と違う点が二つあります。
通常よりチェーンが長い場合があるのと、ケーブルが長くなります。フレームが長いから仕方ありませんネ。
◆チェーンマネジメント用のパーツについて
一方、リカンベントで特殊なパーツといえば、まず「アイドラー」でしょうか。フレーム先端から後部までつながる長い長いチェーンを、フレームやパーツにぶつからない様に且つ、滑らかに受け流すための必須のパーツです。必須といいましたが実は必要としないリカンベントも存在します。
こんな感じの丸いパーツで、
シート下あたりなどに取り付けてチェーンを受け流し、シートやチェーンステーを避けます。
まるっこいのがシート下に二つ付いて、チェーンがかかっているのが判りますでしょうか。
アイドラーの形も様々に存在していて、大きさが違うもの、ギア歯数が違うもの、フレームのメーカーが専用設計で出しているアイドラーもあれば、社外品の高性能アイドラーもあるなど、いろいろと種類があります。比較的消耗も早い場合が多いので、たいていアフターパーツとしてメーカーが販売しています。
私の場合は、DMM3Dプリントを利用して、ナイロンでオリジナルのアイドラーを出力してもらい、使用しています。もし適合するアイドラーが販売されていなければ、今の時代はいろいろな手法を用いて作ることができます。ほかにも強度のある樹脂を削りだして作る方法もあります。無ければ自作という手もあるのが面白いところなのです。
さらにフレームによっては、チェーンラインにもよりますが、用途によってアイドラーを増やしたり減らしたりできます。たとえば、フロントホイールを避ける為のアイドラーを減らしてフリクションを低減させ、高速仕様にすることもできます。ただしフロントホイールとチェーンが干渉するようになってしまうため、直線番長化してしまいます。まぁ乗り手のチューニング次第です。
もうひとつ、チェーンマネジメントをするために必須なのが、「チェーンチューブ」です。
下写真だとちょっと判りづらいですが、チェーンステー上とフロントフォークのところのチェーンが黒いチューブで覆われているのが見えるかと思います。
こっちが判りやすいかな。白いチューブです。
直径が15mmくらいのチューブを使い、中にチェーンを通します。素材はいろいろで、ナイロンやフッ素樹脂のチューブなど、抵抗が少なく且つ頑丈なものを使います。
これを取り付けることで、フレームやパーツにチェーンが直接接触しないようにすることができます。また、リカンベントはチェーンが股の間を通り抜けたりするので、チェーンむき出しだとズボンや身体に接触し、最悪怪我することもあるので、チューブを使って覆い隠しておけば安全で汚れない、といった理由もあります。
◆シート周りについて
リカンベント最大の特徴かもしれない、シート。当たり前ですがこれが無いとまず乗れません。
とはいっても、フレームセットと一緒についてくるので問題ありません。
たいていはグラスファイバーのFRP製であります。
が、カスタムしたい人はここをカーボン製に変えたり、自分の好みのカーブを描いたシートに取り替えたりするわけです。また、ここはロードバイクでいうサドルみたいなもの。つまり座り心地やフィット感が、脚力を生かすか殺すかにかかわってきます。なので、シートを取り付ける金具を加工して好みのシート角度にしたり、シートに貼り付けるクッションを加工したり、複数のスポンジ素材を組み合わせて、適切な座り心地になるように工夫している人たちもいます。
もうひとつ、シートにはヘッドレストがついています。頭を受けるためのパーツですが、これもセットについています。弄りたい人たちは、自分好みにクッション素材を見直したり、作り変えたりしている部分です。サイズが小さいので、工夫しやすい部分ではありますね。
また、座面のリクライニング角度も乗り心地やリカンベントの味付けに非常に関わってきます。座席は基本的には立てたほうが乗りやすく、逆に寝かせば寝かすほど空気抵抗は減ります。一方立てれば立てるほど空気抵抗は増大し、寝かせば寝かすほどコントロールが難しい場合が多いです。
そして、設計する時にも非常に重要なファクターを占めるのが、シートの背面と、座面からBBまで延ばした線との角度です。これが、脚力を推進力に変えるための非常に大きな要素になります。
この部分の角度です。
話によれば、130°付近が最適で、130°より角度が広がると、脚力が逃げてしまうという話もありますが、人によって変わってくるかなぁ、といった感じがします。角度が深ければ強く踏み込めますし、浅いとリラックスした姿勢になります。まぁ良い角度は自分で見つけるしかないです。ちょっとセッティングの話に逸れてしまいましたが、そういった要素を含めて、シートは選んで交換することができるパーツのひとつです。
◆ハンドル周りについて
ほかに特殊なパーツといえば、ハンドル周りでしょうか。OSSタイプの場合、ハンドルポストを可動状態にするために特殊なステムを用います。下ハンドルの場合は体の幅より大きなハンドルが必要です。この辺はフレームセットと一緒についてくるパーツなのであまり気にする必要はないでしょう。また、壊れた場合でも対応できるよう、メーカーから消耗品としてハンドルセットが販売されています。ほかには社外品でも色々と出回っています。
探せばフルチタンの超軽量なパーツも・・・
◆アクセサリー類について
そんなことより、よっぽど"難儀"するものが「アクセサリー類」です。ライト、サイコン、バックミラー・・・ 普通、ハンドルに何もせず取り付ければ良い物が、すべて頭を悩ませる種となります。
まずライト。基本的にOSSもUSSもハンドルに直に取り付けられません。OSSでハンドルにライトを取り付けると、太ももあたりの脚を照らし出して大変まぶしいです。
仕方ないので、フロントのFDポストにアダプターを介して取り付けたりするしかないのです。
こんなかんじ。他にも色々人によって工夫している事例が見られます。
次にサイコン。フォークの位置とハンドルの位置が通常とは全く異なるので、無線タイプのサイコンは角度を工夫しないと電波を受信してくれません。また、有線式のサイコンは大抵はコードの延長を強いられます。
あとはリアライトとか、ベルとか、ミラーとか、キャリアとか・・・他もろもろ・・・。形が違うので、通常想定されている取り付け方が出来ません。まぁどうにかこうにか、弄ればなんとかなりますが。
まぁある意味非常に工夫しがいがあるので、個性が出るところであります。
さて、ざっくりとパーツの説明をしました。まぁ、ちょっと工夫すれば、ふつうのロードバイクとさして差が無いことがお分かりいただけたんじゃないだろうか(いやお分かりいただいて欲しい)。
もしかしたら後で補足説明文を書き加えるかもしれません。
さーて、ぼちぼち製作のほうの記事を書かなくちゃなぁ。
by steadycat
| 2015-12-06 23:18
| 自作リカンベント