随分と前に大阪に行って、わりかし色々なリカンベントに試乗させてもらった事があった。
その時からずっと文章として出力するか否か悩んでいた内容だが、一応体感したことでもあるし、文章に出力しておくだけしてしておこうと思う。
いまから話題の中で取り上げる、試乗したリカンベントたちはすべて大変素晴らしいリカンベントであるし、一切にそれらを否定しているわけではないことを付け加えておく。そして、しろねこさんは「踏んだパワーがそのまま駆動力に直結するような剛性が好き」という過激主義者なので、フレームの撓みや弾性が推進力に変わるなどという物は体が受け付けない(ペダリング的な意味で)のである。
というわけで表題の「リカンベントのねじれ剛性」についてである。
リカンベントは前後に非常に長いが故、構造的に適切な設計をしないとポヨポヨ撓むよ!っていうのは、
2020年の5月に投稿した下記の記事
に記した長い駄文に書いたとおりである。
要約するとヒョロ長いフレームの端と端を引っ張り合うと撓むぞコラボケという話である。
だがこの記事を書いているときに、とある別の変形の仕方について、しろねこさんを悩ませていた。
それが「ねじれ」である。
なんそれ、って話であるが、フレーム剛性の低い、もしくは弾性のあるリカンベントは、
フレームが撓んでいるだけでなく、"ねじれ"ている気がしてならないのである。
どー言う事よ、って話なんですけど、図示するとこうです。
マックスパワーをかけた瞬間、BBブームの先が、右に動くだけじゃなくて、若干時計回りに捻じれるように、倒れ込むように、右に変形している感覚を引き起こすフレームがあるんですよね。
なに?まだピンとこない?つまり極端に表現するとですね、
回転するように捻じれて撓んでいる感じがするフレームがあるってことなんですねはい。
というわけで、複数台試乗して、「なんか、捻じれるように撓むんだけど……?」って感じた車種は以下の3車種です。
まず言わずもがな、「LiliumⅠ」
次に、「SchlitterEncore」

もう一台、「M5 LowRacer」
一方捻じれや撓みを感じなかったフレームは
まず「LiliumⅡ」

次に「RANS F5」

そして「Lightning P38」

もうひとつ「Bacchetta Giro 20 ATT」
あと、意外にも「Performer SuperLow」
最後に「TSUNAMI2026」
これらのフレームは、捻じれるような撓みってのは感じられなかった。
なんとなーく捻じれるように撓む原因を考えていたのだけれども、行きついた推測として、多分
「単管パイプ構造でかつ、パイプそのものの剛性が足りてないか」
「リアホイールの支持が4本以上のフレームで構成されているか」
の2つのうちどちらか、もしくは双方ではないかと思っている。
まず、「単管パイプ構造でかつ、パイプそのものの剛性が足りてないか」についてであるけれど、
もう言わずもがなで、これはシンプルにパイプが捻じれている、撓んでいるのだと思う。
特に顕著に感じたフレームはM5のLowRacerだった。この子は剛性の低さはそれほど感じなかったものの、径が比較的細くて弾性に富んだパイプを選んであるせいか、ペダリングを行うと前後に縮むようにバインバインとフレーム全体が弾むのである。LiliumⅠは「ポヨポヨ」なのだが、M5のLowRacerは「バインバイン」である。ばね感が凄まじい。素材的にもそういうチョイスをしてあるとしか考えられない。というかそもそもチェーンで引っ張られた時に縮むようなフレーム形状なので、
この図みたいな感じになってしまうのかなぁ、と現状思っている。アイドラーより前フレームは特にチェーンで下側にも引っ張られるので、捻じれるように撓むのかもしれない。LiliumⅠも同様でアイドラーより前方は後ろだけでなく下方向にも引っ張られる成分があるので、BB部分が右だけでなく捻じれるように下に変形している感覚を引き起こすのかもしれない。
しろねこさんはペダリングパワーが何にも変換されず、即チェーンを介してホイールに流れ込みタイヤで地面を蹴って加速度に直結してほしいクソ脳金タイプのフレームが好きなので、フレームがしなって一旦受け止め推進力に変換するといったクロモリタイプのフレームは全く受け付けないという事がM5LowRacerに乗って身にしみて感じることが出来たので、多分肌に合わないフレームなのだと思う。ビジュアルはパーフェクトに好きなのだが。
そして、「リアホイールの支持が4本以上のフレームで構成されているか」なのだけれど、これの解釈の仕方が厄介であり、だいぶ推測の域を出ない。なのだが、SchlitterのEncoreで感じた捻じれるような撓みはこっちの発想を用いるしかないのである。
どういうことかというと、SchlitterのEncoreは、十分太いカーボンフレームであるし、中間のアイドラーより前のフレーム部分は特に下側に強烈に引っ張られる要素がなく、BB周辺が右側に捻じれるように撓むという現象の説明が難しい。しかしながら、ポヨポヨではなくバインバインとした撓み方は何度踏んでも発生した。
さんざん考えた結果唯一考えられるのは、中間のアイドラーから後方のフレーム形状がM5のLowRacerに近しいものがあるからではないか?である。後ろのリアホイールを支える左右のカーボンブームがわずかに湾曲している。チェーンを逃すためなのだが、結果的にこの曲がりによって僅かにドライブ側のブームが変形して縮み、捻じれるような感覚を生み出しているのではないかと推測するが、推測の域を出ない。あり得る話かなと。
とりあえず、「単管パイプ構造で、後ろが双ブーム形状であり、撓みやすいパイプ」のリカンベントの場合、右側に時計回りに捻じれるように撓むような感覚を覚えることがある。もしくはLiliumⅠのような脆弱な構造だと,後ろが双ブームではなくとも時計回りに捻じれるような撓みが感じられる。という事ではなかろうか。
その上で撓みにくいリカンベントを見てみると、「LiliumⅡ」「RANS F5」「Lightning P38」はリアはトライアングル構造である。特に「Lightning P38」はフレーム全体がトラス構造であり、横方向の剛性がとにかく半端ない。いくら踏んずけてもたわみってのを感じさせなかった。細いパイプの組み合わせでも、構造的に配慮すれば大変強固なフレームが出来上がるのだなと試乗した際には大いに感心したもので、これが登りに強いと言われる理由なのだとわかった次第である。「LiliumⅡ」「RANS F5」に関しては捻じれや撓みにしっかり抵抗している感じがある。
面白いのが「Bacchetta Giro 20 ATT」と「Performer SuperLow」「TSUNAMI2026」なのだが、「Bacchetta Giro 20 ATT」に関しては、なんというかアルミでできたママチャリといった様相で全体的に太くごつい。何よりフレームそのものの長さが大して長くないし、アルミでできているので全体的に硬いのだろうと思われる。よって、捻じれるように撓まなかったのではないだろうか。また「Performer SuperLow」はフレーム後方の縦方向の剛性は非常にプアで、ボヨンボヨンと縦に揺れるのだが、BBブームから尻あたりまでのメインパイプはアルミの太いしっかりしたパイプのため、捻じれるような撓みは発生しなかったのではなかろうか。いや縦方向のボヨンボヨンのしすぎて気づいていなかっただけかもしれない。というかアルミでできたゴツいフレームは比較的捻じれにくく強いのかもしれない。「TSUNAMI2026」は鉄!!!!!!オラッ!!!!!!って感じでしろねこさんの一生つきあう信頼と安心の鉄フレームといった感じでどっしりとした佇まいでございまして、そうそう撓む感じは致しませんでした。
というわけで、リカンベントという特殊なフレームにおいては、普通の自転車と違ってパワー伝達構造そのものに特殊で様々なたわみが発生するのではないかという話で、それらを考慮しながらフレーム設計を考えていくと面白いのではないかと思う次第。
カーボンフレームを設計する際には、個人的にはリアホイールを支えるリアのフレーム設計は4本以上のカーボンパイプでトライアングルの構成を行いたいし、パイプ径はとにかく増大させておきたいという話でした。
すんませんがいくつかの画像はネットの海から引っ張ってきました。ゴメンナサイ。